本プロジェクトについて

道路構造物の点検作業の効率化は、喫緊の課題です。1950年代中頃から始まる高度経済成長期に集中的に整備された道路構造物は、その老朽化が深刻度を増しています。2014年の道路法改正では、予防保全・老朽化対策が防災・減災対策と並んで強化されました。しかしながら、道路構造物の約9割を管理している地方自治体では、土木関係職員数が2002年からの10年間で約22%減少するなど技術者不足に陥り,対策強化への体制整備が十分に行える状況にはありません。

国内の道路構造物は、舗装面が約3,100㎡、橋梁が約70万橋、トンネルが約1万本にのぼります。橋梁やトンネルにおける主要な構造材はコンクリートです。道路構造物に対して性能評価や補修・補強といった対策を施すためには、劣化状況の定量的な調査や診断が必要になります。法令においても、5年に1回の定期点検を近接目視により行うこととしています。コンクリートを対象にした定期点検では、ひび割れ、浮きや剥離、遊離石灰や錆汁などの変状を対象としての確認と記録が行われます。その中でもひび割れは主要な点検項目であり、鉄筋コンクリート造においては0.2mm幅以上のものはその形状や長さを損傷図として記録する必要があります。これが、点検作業において多くの時間と労力を要す作業となっています。

私たちは、2014年より、道路構造物ひび割れモニタリングシステムの開発を行っています。これは、点検作業を効率化するだけでなく、点検作業の後工程でもある補修や更新の計画立案、意思決定やスケジューリングを支援することを目的としいます。このためには、高精度な点検情報を収集蓄積する機能、どこにどのようなダメージが存在し、それが時間を経てどのように変化しているかを検索し解析する機能が必要不可欠です。そこで私たちは、コンクリート部分のひび割れを撮影画像から自動検出する技術の研究開発を中心とし、点検業務における計測支援、劣化損傷の状態や経年変化の抽出分類およびこれらの検索・提示等に関する技術開発に着手しています。